ギターの木材による大まかな音の違いについて

エレキギターに使われている木材というのは大まかに数えると大体10種類程で、アルダー、メイプル、アッシュ、マホガニー、ローズウッド、バスウッド、エボニー、あとは稀にコリーナが使われる程度。もしかしたらパーフェローは今後のスタンダードになるかも?

世界には様々な種類の木があるが、世の中のエレキギターの99%以上がこれらの木材だけで作られていると言っても過言ではないのではないでしょうか。

さらにそれぞれネック、ボディと用途が限られている物もあるのでその組み合わせは本当に限られていますね。

 

これは伝統的な組み合わせの音がそのままギターのスタンダードになったからで、今もその「正しい」ギターの音を得るために…まあ組み合わせについての話はまた今度にしておきましょうか。

 

という訳で今回は単に木材の使用用途と音質だけ綴っておきたいと思います。

 

アルダー

ザ・エレキギター用材。

木目はニトリの家具の様に地味で、少し黄色がかっているので塗装は塗りつぶしかサンバーストになることが多いですね。

 

高音域と低音域が適度に吸われたような音で、その結果残った中音域がギターとして美味しい。

単体で聞くと少し貧相な音に感じることもあるが、他の楽器と上手く棲み分けができているので曲の中で邪魔にならずかつ適度に存在感が出る。

少しアタックに軋む様な感覚があり、これがまたギターの音として凄く美味しい。

ここにチョーキングなんかするとそれっぽすぎて最早わざとらしい。

トレモロを載せるといたなさが加わって尚美味しい。

 

総合して、これ以上ギターに適した材はないって感じです。

組み合わせるネックはローズウッド指板でメイプルネックがベスト。

ピックアップも何を選んでも合うので、好みの音質に合わせてどうにでもできます。

 

マホガニー

アコースティック系の材。

色は樹種により茶褐色からオレンジまで様々。塗装すると色が暗く濁るので高級感のある落ち着いた色が選ばれるか、トップにメイプルを貼ることが多く、ギブソン系のギターネックや様々なギターのボディに主に用いられます。

 

音はふくよかで少し解像度が粗く、また暴れすぎたり前述の塗装色が鈍くなったりと単体では少し癖が強いのでバランスを取るためメイプルを貼るパターンが非常に多い。

メイプルトップ、マホガニーバックの組み合わせはマホガニーに足りない輪郭とタイトさをメイプルが補う最高のコンビネーション。

 

ネックはメイプル/ローズウッド、あるいは同じマホガニーが用いられますが、現代の音楽に使うには音が甘くなりやすいので最近は殆どメイプルネックが採用されています。

 

ホンジュラスマホガニー

かつてはマホガニーといえばホンジュラス産、あるいは他の国で採れる同種のオオバマホガニーの事を指していました。しかしもう随分前に枯渇したため今はほとんど使われていません。

別名ジェニュインマホガニー。

オレンジがかった見た目が特徴でサウンドはアフリカ産のものよりスッキリしていて、特に高音域の泥のような粘りが少なくスコーンと鳴る様なイメージです。

 

しかし今出回っているホンジュラスマホガニーは殆どが出がらしの様な材で、良質な物はメーカーもほとんど確保できていないようです。

つまり良い物は非常に高価で、費用対効果が悪すぎるように思います。

 

コリーナ

正式名称リンバウッド。黄金色のマホガニーっぽい木。使用用途もマホガニーと同じ。黒い模様が入った物はブラックコリーナ(リンバ)と呼ばれ、近年注目を浴びています。

ほんの少しだけマホガニーよりも軽やかでキレのいい材です。

ただアタックに水っぽさがあり、柔らかくなるまで煮込んだ竹を奥歯で噛み潰した様な感覚がします。ちなみにこの表現は今のところ誰の共感も得られていないので気のせいかもしれない。

マホガニーにもっと爽やかさが欲しいという方は一度試してみるとハマるかもしれません。

 

加工時の粉塵で肌がかぶれるので木材としては一般的ではなく、特に国内ではほぼギターにしか使われていないので流通数がかなり少なく、結果的にコリーナのギターも貴重なものとなっております。

 

アッシュ

古い時代のFenderでよく使われていた木材。

メイプルのように色白で派手な木目が特徴的で、それを生かしたナチュラルまたは半透明の塗装が人気です。

シャーベットの様な高音域と爽やかな中音域が特徴で、よく乾燥しスカスカな木材のイメージそのままに粘り気が少なく低音域の濁りも少ないです。

立ち上がりは切れ味よく、それにスムースなサステインが続く爽やかな材。

 

一時期はヴィンテージを意識したテレキャスターとストラトくらいでしか見かけなかったような気がするんですが、最近は流行にマッチしたのか色んなメーカーがアッシュを多用するようになっています。(気のせいかも)

 

バスウッド

かつては安ギターの象徴として忌み嫌われていた材でしたが、Steve VaiとJohn Suhrによってその認識は改められてきています。

 

音的には高低域を維持したアルダーといった感じで、これもギターらしい音色を備えた財です。

特に録音においては究極の馴染み力を発揮してくれることでしょう。

ただしあまりの癖の無さに面白みに欠けると感じることも。

傾向的には技術やフレーズで聴かせるタイプのギタリストに多用されている様な気がします。

 

材としては非常に柔らかくそのままでは暴れすぎてしまうので塗装は厚めにとるのがベター。

さらにこれにメイプルを貼るのがJohn Suhrのお気に入りです。

サウンド面はもちろん、強度がある程度確保できるので弦の張力に負けてブリッジのスタッドがボディを変形させてしまうのも防止できます。

 

メイプル

エレキギターでの使用頻度としては、このメイプルがダントツで1位でしょう。

主にFender系のネックと指板に用いられ、ギブソンをはじめとするマホガニー系のギターのトップ材に使われる他、単に飾り板として様々なギターに使用されます。

 

丁度アタックを強調する様なハイミッドにピークがあり、ネックに使用するとギリギリ耳に痛くない突き刺すような甘いサスティーンが得られます。

タイトで硬質なので、レスポールなどマホガニーだけではぼやけがちだったり暴れすぎたりするギターに輪郭を与える目的でボディのトップ材にも頻繁に用いられています。

また、色白で派手な木目が出たものも多いことから単に飾り板としても使われます。

 

Suhr先生も仰る通り、世間的なイメージに反してメイプル自体はそこまでキンキンした音ではなく、私はさらにメイプルでネックを作ったFender系のギターの多くがシングルコイルを採用していたという部分が大きいのではないかと推測しています。

 

ローズウッド

指板材としては最もポピュラーな材。しかしいずれの種も規制されつつあるのでそのうち見なくなるかもしれません。

 

非常に硬質な材ですが導管が多く、つまり密度がギッチギチではないので空気感のある音が出ます。

主な用途は指板でメイプルやエボニーなどの材と比べて甘く柔らかい音になる傾向があります。

たまにローズウッドのみで作られたネックもあり、より甘く重厚で上品な音が得られますがアタック感に少し欠けるような気がします。それと非常に重いのでボディとのバランスに苦労するかもしれません。

 

ブラジリアンローズウッド

通称ハカランダ。

一般的にローズウッドとして使用されているインディアンローズウッドと比べると、より重厚で硬質な物が多くサウンド的にはエボニーの要素を兼ね備えたローズウッドと言えます。

音以外にはそのうねりのあるダイナミックな木目もファンにはたまらない様で、さらにはローズウッドと呼ばれる所以である薔薇の様な甘い香りもハカランダの魅力であるようです。

 

ギターにおいて最も理想的な指板材とされていますが、かなり厳しい規制がかけられており良材の確保は困難。ホンジュラスマホガニーと同じく、無理に品質の良くないハカランダを使うよりは他の種の良材を探すのが無難でしょう。

但し、ハカランダに近いとされている他のローズ種を含め、あらゆるローズ種への規制はどんどん厳しくなっているので、今後はローズ種でない似た材を使っていくことになりそうです。

でも指板材はそれほど大きいものを確保しなくていいからか、なんだかんだであるところには結構ある印象があります。

 

エボニー

ヴァイオリン属の楽器やクラシックギターなど、弦楽器に伝統的に用いられてきた材で、非常に重厚で詰まっていて、超硬質な材です。

サウンドもイメージのまま重厚で、重心の低い落ち着いた上品な音が魅力。

更に安定性が高く硬いので、ネックの反りにある程度の耐性があります。

いい材ではありますが、個人的に爽やかさが売りのフェンダー系のギターにはあまり合わないのではないかと思っています。

 

また、ローズウッドと同じく取引に規制がかけられており、この規制は今後強化されていく見通しです。

しかし一方ではその均一で重厚な材質が再現しやすいのか、リッチライトやケボニーなど人工の代替材が発明されているので、エボニーという天然の木に拘らなければ代わりはそれなりにあるといった時代が来るかもしれません。

 

パーフェロー

ローズウッド類の代わりとして注目されつつある木で、Fenderでは以前から一部のアーティストモデルに採用されていた実力織り込み済みの材。ただ全体的に少し色が明るいのが難。

かなり硬質で安定性が高く、指板にはうってつけの材ですが導管が浅く緻密な材であるので、ローズウッドの様な甘さには少し欠けています。

とある海外の工房では「ローズの見た目をしたメイプルっぽい材」とも説明されていました。

個人的には限りなく爽やかなエボニーといった印象です。

ここのところは解像度の高い、はっきりした音が好まれているので時代にもマッチしていると思います。ですので今はまだマイナーですが今後は一般的な材になっていくかもしれません。

 

最後に:木材だけでは音は決まりません

木材で確かに音は変わりますが、それはそれぞれの木材の差であって楽器としての質の差ではありません。

ギターというのは総合的に考えて目標の音を作る楽器ですので、ネックのセット方法、ピックアップの種類、スケール、ボディ厚など様々な要素を考慮すべきです。

よって、出音や引き心地を重視する場合はギターを木材の種類や産地だけで選ぶのは得策ではありません。日本人の全員が勤勉で真面目だとは言えませんし、アメリカ人にも繊細でマッチョでない人が少なからず居る筈です。

しかしギタリストにとってそういったレア材がロマンであるのは間違いないので、単にレア材のギターが欲しいというのであれば、それを買う事は決して悪い事ではないでしょう。

当然見た目が良くて内面も良い、まさに理想的な出会いもあるにはある筈なので、ギター選びには気合を入れて取り組みましょう。